Minecraft(マインクラフト)を活用した子供向けのプログラミング本が近年数多くありますよね。ですが多すぎてどれを買えばいいか分からない方も多いのではないでしょうか。今回は僕が実際に図書館や本屋をめぐって見てきた本の中でおすすめできるものを、それぞれ比較したうえで紹介していこうと思います。
今回の記事は主におうちの方へ向けた記事になりますが、子供も読みやすいように書いているのでぜひ読んで、面白そうな本があったら大人の方にぜひ交渉してみてください。
※Minecraft、マインクラフト、マイクラと表記ゆれがありますがどれも同一のゲームです。
※この記事はパソコンとMinecraftが使えることが前提です。
筆者について
この記事の筆者は別に本職のプログラマではありません。現在Javaを本で独学しているプログラミング1年生です。しかしプログラミングに関する基礎的な知識はあるので、自己責任になってはしまいますが、信頼していただいても大丈夫だと自負しております。
あくまでプログラミング学習者として、子供の目線で本を読んでみてどう感じるかを書いています。
用語解説
普段使わない用語が出てくるので軽く解説しておきます。
プログラミング言語(言語):ざっくり言うと人間の指令をコンピューターに伝えるための機械語です。多くの種類があり、用途ごとに使い分けられています。
コーディング:プログラムを実際に文字で打ち込んでいくことです。映画などでハッカーがキーボードをカタカタしている場面を想像するのが分かりやすいかと。
ビジュアルプログラミング:学習用に作られた、アイコンを並べることで簡単にプログラムを作れるプログラミング言語のことです。
レベル別でとらえるマイクラプログラミング本
色々見てみて、本ごとに得られる知識のレベルがあると感じました。今回、見出しで本にレベルを付けています。どれがいいというわけではないですが、お子さんがどれくらい理解できそうかで何を買うかを決めると良いのではないかと思います。
- レベル1:プログラミング的な思考を学べる
プログラミングは全くしないけれど、プログラミングに必要な思考力、論理的に筋道を立てて考える力をはぐくむタイプです。機械や算数が苦手な人でも手軽に取り組めるのがメリットですが、実際的な力はそんなにつかないでしょう。現在小学校の必修カリキュラムになっているものもこのタイプですね。
- レベル2:ビジュアルプログラミングを用いて軽く学習する
プログラミングと言うと、真っ黒な画面にキーボードでカタカタ文字を入れるようなものを想像すると思います。ビジュアルプログラミングはそうではなく、「文字を表示する」「10秒待つ」といったあらかじめ用意された指令を組み合わせてプログラムを作る言語です。一番有名なものにはScratchというものがありますね。
ビジュアルプログラミング言語は主に教育目的に使われていて、パソコンにあまり触らない初心者でも比較的簡単にプログラムを作ることができます。
コーディング能力こそ付きませんが、実際にプログラムを組み立てる力を付けることができます。
- レベル3:マイナーなプログラミング言語で実際にコーディングする
ここまでくるとだいぶ実践的になります。プログラミングにはC言語やJavaなどのメジャーな言語以外にも、細かい用途を持っていたり、学習用に簡単めに作られているマイナーな言語もあります。今回の記事ではLuaスクリプト言語を用いているものを紹介しています。マイナーなので将来仕事に直接活かすのは難しいかもしれませんが、プログラミングは基本は共通しているため、一つの言語で学んだことは他の言語学習に活かすことができます。本格的なプログラミングをするための準備としていいかもしれません。
- レベル4:実際に広く使われているプログラミング言語を学習する
C言語やJavaなど、現在も仕事として使われている言語を学習するレベルになります。Mineraftを使いつつ実用的な言語を学ぶ本は1冊だけ見つけたので紹介します。番外編としてMinecraftに直接関連はしていないものの、子供向けかつC言語、C++を学べるものも紹介しているのでよかったらそちらも見てください。
もしお子さんがプログラミングに関わった経験がある、プログラミングに高い意欲がある、中学生レベルの読解力や数学力がある、などでしたら、もう大人向けの学習書を使用してしまってもいいかもしれません。
以下、それぞれの本のレビューと紹介になります。
「マインクラフトプログラミング入門 まいぜんシスターズと学ぼう」レベル1
- 小学校低学年向け
- 基本的な思考法をまいぜんの動画と関連付けて覚える
- 一番難しい部分でフローチャートを書くくらい
かなり初歩的な内容になります。条件分岐や変数といったプログラミングの用語を、まいぜんシスターズさんの動画の場面に関連付けて説明しています。
プログラミングを実際にするわけではなく、プログラミングがどういった考え方に基づいて動いているのかをさらっと説明されています。プログラミング学習と言うよりは、「まいぜんシスターズは好きだけどパソコンや算数は大嫌い!」という方がプログラミングに苦手意識なく触れるための初めの一歩用といった感じです。あるいは、小学校低学年か幼稚園くらいなら丁度良い難易度かもしれません。
正直なところ、ある程度マインクラフトやパソコンに触れている方でしたらもう少しレベルの高い教材から始めても良いかと思います。
|
「もっと楽しむ!マイクラでプログラミング!」レベル2?
- 前半で少しビジュアルプログラミング
- 後半はレッドストーンとコマンドを練習
- 面白装置とタイトルにあるように、好奇心を刺激する本。
プログラミングと銘打ってはいますが、メイン要素はレッドストーン回路です。
レッドストーンとはゲーム内で作れる回路のことで、組み立てることで機械を作ったりゲーム内の作業を自動化することができます。プログラミングが情報学だとしたらレッドストーンは工学的な要素が強く、リアルで機械やものづくりが好きな子供におすすめかもしれません。
終盤はコマンドとレシピ集ですが、インターネットでも分かる情報が多かったので少し残念でした。
レッドストーンの回路についてはしっかりと面白く頭を使うものが多いです。手順の1つ1つに画像がついており誰でも機構を完成させられるようになっているのも良いポイント。
プログラミング部分に関しては序盤で少し触れるっきりですので、それを起点として自分で学んでいく必要がありそうです。
|
※フルで楽しむにはWindows10版Minecraftが必要なので注意。
「できる!パソコンで楽しむマインクラフトプログラミング入門」レベル2
この本は見ることができなかったので完全にお勧めすることはできませんが、かなり良さげだったので紹介させていただきます。
この本では上記の「もっと楽しむ!マイクラでプログラミング」で少しだけ触れられていたビジュアルプログラミングをメインに扱っているようです。
ビジュアルプログラミングはあらかじめ用意された指令のブロックを組み合わせてプログラムを作る教育用のプログラミング言語です。マスターすればそこで培った思考法や組み立て方をそのまま実際の言語でコーディングする際に役立てることができます。コードは書かず組み立てるだけなのでパソコン初心者でもプログラムを作ることが可能です。
試し読みで見たもくじによる判断ですが、ゲーム内プログラミングを用いてロボットに作業をさせたり、対戦ゲームを作ったりするようです。
Minecraftを活用してビジュアルプログラミングをしっかり学ぶとしたらこの本が良いでしょう。
|
「Minecraftで遊んで学べるプログラミングの教科書」レベル3
- LUA言語というマイナー言語をゲーム内でプログラミング
- がっつりプログラミング。理屈の説明がしっかりしている
- 画像やイラストは少な目
- 文章的に中学生や小学校高学年以上が対象?
ComputerCraftというMODを導入して、マインクラフトのゲーム内でプログラミングを行います。
割とレベルが高く、1冊でLUA言語をしっかりマスターできそうです。行うことは主にロボット使役によるゲーム内作業の自動化で、プログラミングの考え方からコーディングまで行っています。
Lua言語はマイナーではありますが実用されている言語で、大手ではWikipediaなどが使用をしています。ゲーム開発でも使われている言語なので、ゲームプログラマーになりたい人にもおすすめできるかもしれません。
良いと思ったポイントがプログラムの一行一行に「この一文が何を表しているのか」がコメントアウトで書いてあり、理屈をしっかり理解して学びたい子にはピッタリなのではないかと感じました。
※中古品です。
「マインクラフトプログラミングブック」レベル3
上記の本とかなり似ていますが、一長一短のある本です。こちらでも上記と同じくゲーム内MODでプログラミングを行い、同様のロボットを使役します。
こちらの方が画像が多く一見わかりやすそうに見えます。しかし理屈の説明が少なめです。文章自体はこちらの方が平易で読みやすいかもしれません。
個人的には「Minecraftで遊んで学べるプログラミングの教科書」の方が好きですが、理屈よりも直感的な分かりやすさを重視する子にはこちらの本の方が向いているかもしれません。
|
※中古品です。
「Minecraftで楽しく学べるPythonプログラミング」レベル4
実際に読めてはいませんが、広く実用されている言語のマインクラフトプログラミング本を発見できました!
Pythonという言語は今最もアツい言語と言えるほど現在人気な言語です。ビッグデータの分析やAIの開発にも使われていて将来性もピカイチです。試し読みを見た感じだと、Pythonで実際にプログラミングをしてゲーム内で家を建てたり絵を描画したりと内容もしっかりしていそうです。
残念なこととしては紙媒体での入手が難しいことです。Amazonでは通常の2倍の価格になっており、楽天ではそもそも電子版のみです。プログラミング本はパソコンとは別で見た方が確認や書き込みがやりやすいので(パソコン画面が非常に大きければ問題ないですが)、スマホで電子書籍を見てノートでの書き込みと併用するのがいいかもしれませんね。
|
※電子書籍版です。
番外:マインクラフトで楽しく学べる! 地球のひみつ大図鑑
こちら、プログラミング本ではありませんが、マイクラで学ぶ子供向け学習書として非常に面白かったので紹介させていただきます。
この本では名前の通りマインクラフトの世界に存在する鉱石、アイテム、動物、植物などを実際の地球にある同じものと比較して紹介しています。
例えば胴は錆びやすい鉱石であることだったり、オオカミをヒトが手懐けたものが犬の祖先であることなどなど、マイクラで知っている知識と紐づけて現実の地球について学ぶことができます。
写真が非常に多いので誰でも直感的に理解できるので幅広い年齢の方にお勧めです。
|
子供向けプログラミング本を2冊紹介
Minecraft関連ではありませんが、子どもむけプログラミングの本をいくつか見つけたので紹介していきます
「12歳からはじめる ゼロからのC言語ゲームプログラミング教室」レベル4
- 現代プログラミング言語の祖、C言語をしっかり学べる
- かわいいイラストが多数
- 実際的なゲームを3種類作れる
- 簡単な文章とイラストで分かりやすい
これほんとに12歳向けか?(笑)
C言語は今ある多くの言語の基礎となっている言語です。PHPやJava、先述したPythonもC言語から派生して生まれました。C言語は少し上級者向けと言われますが、これを学んでおけばどの言語でも基礎がある状態で学び始めることができるでしょう。C言語自体も歴史があり、保守的な場面ではまだまだ仕事が多いそうです。
見た目こそ少しオタク向けですが、内容がかなりしっかりしています。C言語のプログラミングの考え方、コーディング方法がしっかりと書いてあり、イラストも内容を非常にわかりやすくしてくれます。文章も読みやすく、小学校高学年なら簡単に読めるでしょう。
途中で恋愛ゲーム(いわゆるギャルゲー)を作ったりと教育的に微妙なところですが、1冊読むだけで実際的なゲームを3つ作り上げることができ、ボリュームに対して値段も安めです。子供向けかつしっかりプログラミングを学ぶと言う点ではかなり高レベルな本だと思います。
萌えっぽいのが苦手でなければこれ一択ってレベルでオススメ。
|
先述した人気言語のPython版も出ているようですね。
|
「冒険で学ぶはじめてのプログラミング」レベル4
- ゲーム開発で広く使われているC++を学べる
- VisualStudioを使用してプロと同じ環境で学べる
- 入門書。基礎的な部分だけを短めに学ぶ
- ストーリー性があるのでお話好きにおすすめ
C++はC言語から派生した言語のひとつで、今でもゲーム開発の第一線を担っています。
この本で学ぶことでWindowsにVisualStudioを導入し、実際に職業でプログラミングをしているような人たちと同じようにプログラミングをすることが可能です。
内容は割と基礎的な事のみに絞られていて、これ一冊だけだとで文字と数字だけの簡単なゲームを作るにおさまります。
RPG風の世界観で、少年の冒険で起きる問題をプログラミングで解決していくストーリー仕立てになっています。読書が好きな文系っ子にもおすすめです。
「将来ゲームプログラマーになりたい!」と言っているけれどプログラミングは全くやったことがない、というお子さんの入門書として丁度良いかもしれません。
|
MinecraftのMOD(モッド)を作りたいならJava学習
PC版のMinecraftにはMODという公認された改造データがあります。自分でMODを作ってみたいという場合はJavaを勉強する必要があります。Javaは現在でも広く使われている言語の一つです。
僕は今下記の本でJavaを学習しています。一応リンクを張っておきますが巷で言われているようにJavaは初学者向けではなく、それなりに難しいです。ひょっとしたらプログラミングスクールに通った方がいいかもしれません。
|
追記:色々調べてみましたが、子供向けでかつJavaが学べるプログラミングスクールは見つけられませんでした。子供向けのオンラインプログラミングスクールは無料体験がよくあるので、そこで学びたいことが学べるか聞いてみるのがいいかもしれませんね。大体どこもビジュアルプログラミング言語のScratchを使うカリキュラムが多いですが、教えている人はプログラミングのプロのはずですので、聞いてみたら案外できるかもしれません。
本気度が高いなら大人向けのコースに入れてもらうのもありかもしれません。TeckAcademyにはJavaコースがあり、年齢制限はないことを謳っています(上の方を想定していますが…)TeckAcademyジュニアという子供向けの物もありますがやはりScratchでの学習がメインになるようです。
まとめ:結局どの本がおすすめか
どの本も一長一短あるので、お子さんの興味に合わせて考えるのがおすすめです。
子供向けの文章で、かつしっかり学べるという点では12歳から~の本が1番良さそうですが、今回の主題はMinecraftで学ぶプログラミングの本ですので…
パソコンや数学は苦手だけどまいぜんシスターズやマインクラフトは好き!!→「マインクラフトプログラミング入門まいぜんシスターズと学ぼう」
プログラミング能力こそあまり期待できませんが、苦手意識を持たせずにプログラミングに触れさせられるかもしれません。
幅広く理系的な能力を高めたい!でもどっちかっていうと面白くマイクラを楽しみたい!→「もっと楽しむ!マイクラでプログラミング」
プログラミングこそちょろっと触れる程度ですが、レッドストーン回路やコマンドなど、理系的、数学的思考力を要する能力を養えます。ワクワクするような面白い機構を自分で作れるのもポイント。
ビジュアルプログラミングで簡単にプログラミングをしてみたい!→「できる!パソコンで楽しむマインクラフトプログラミング入門」
もっと楽しむ!の本ではかるく触れられるだけだったCodeConectionによるビジュアルプログラミングに本格的に取り組みます。がっつりプログラミングしたいけど、キーボードでのコーディングはまだ難しそうという方に。
マイクラをしながらがっつりコーディングしたい!!→「Minecraftで楽しく学べるPythonプログラミング」
実在する言語でマインクラフトのゲームに作用できる本は何冊か紹介しましたが、圧倒的シェアを誇るPythonを使えるこの本がイチオシ。Pythonは初心者でも学びやすいと言われているのである程度の自信があればきっとマスターできるでしょう。
今回の内容は以上です!多分お子さんの方もどれが欲しくてどれが欲しくないなどあると思いますので、よく相談して決めてみてくださいね。(買ってあげたら「これいらない!」という悲劇がないように…!!!)
コメント